導入事例

リアル人事の厳しさも温かさも再現!
「AIかねこさん」とのやり取りが、新入社員を本気にさせ、人間関係も育てた理由

三菱地所レジデンス株式会社、人事部の皆様の画像
(左から)

人事部 人事グループ 兼務)人材開発・人権啓発グループ

柏木 想代 様

人事部 人材開発・人権啓発グループ

副主任 矢島 かれん様

導入背景・課題

  • 例年、当社の新入社員研修では、1日の振り返り(日報)をExcelファイルに記入する形式を採用してきました。人事研修担当者はその内容を確認し、個別にフィードバックを行っていましたが、この作業が1ヶ月間継続することで、業務負荷が非常に高くなるという課題がありました。
  • 一方で、新入社員にとっても、日報の提出が義務化されていることにより、記入作業が形式的になりやすく、振り返りの目的や意義が十分に意識されないまま進められてしまうケースも見受けられました。その結果、内省の深度が浅くなり、研修で得た学びが実際の行動に結びつきにくいという課題も浮き彫りになっていました。

解決策

  • 振り返りの質と効率の両面を改善するため、今年度より「リフレクト」を導入。
  • 日報をタイムライン形式で一括管理することで、研修運営の効率化と情報の可視性を向上。
  • 実在の人事担当者をモデルにしたAIが、5つの行動規範に基づいた具体的なフィードバックを自動で提供し、内省の質を高める。
  • 同期の日報を相互に閲覧できる環境を整備し、価値観や視点の違いを学び合う機会を創出。
  • 個人の成長だけでなく、同期同士の関係性や組織理解の深化にもつながることを期待。

効果

  • フィードバック業務の効率化これまで新入社員一人ひとりに対して、研修担当者が個別にフィードバックを行うには多くの時間と労力を要していました。「リフレクト」の導入により、日報の確認やコメント作成が自動化され、業務負荷の大幅な軽減につながっています。
  • フィードバックの質とタイミングの向上AIが日報内容をもとに即時かつ具体的なフィードバックを提供することで、振り返りの質が高まり、タイムリーな行動改善が促されるようになりました。これにより、研修期間中の対話の機会が増え、学びの定着にも寄与しています。
  • 個別育成への活用AIが分析した日報から、新入社員それぞれの特性や強みを把握することができ、育成プランの設計としても活用されています。
  • リアルな対話のきっかけづくり「リフレクト」は人とAI、人と人との接点としても機能しており、AIからのフィードバックをきっかけに、育成リーダーや同期との対話が自然に生まれるなど、リアルなコミュニケーションの促進にもつながっています。
今回は人事部人材開発・人権啓発グループの矢島様、柏木様に、リフレクト導入の背景から実際のご状況について詳しくお話しを伺いました。

まず、リフレクト導入前の課題について教えてください。

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矢島 様

これまでも新入社員研修の中で、日々の振り返りとして日報を記入してもらっていました。人事担当者は毎週その内容を確認し、個別にフィードバックを行っていましたが、実際には一人につき一言コメントを返すのが精一杯で、内容が定型化しやすいという課題がありました。新入社員の中に芽生えた良い気づきや成長の兆しを、十分に拾い上げることが難しい状況でした。

また、日報の記入量が多く、新入社員にとって負担になっているのではないかと感じていました。記入が目的化してしまい、研修で得た知識をただ書き留めるだけの“メモ”のような使われ方になることもありました。その結果、日報が本来果たすべき「学びを行動に転換するプロセス」が十分に機能していないという問題意識を持っていました。

人事部としては、研修期間を単なる学習の場ではなく、配属に向けた準備期間と捉えています。新入社員には、当社社員として求められる行動やスタンスを、研修を通じて体得してほしいと考えています。しかし、従来の運用では、研修が“学んで終わる”学校的な枠組みから抜け出せていないというもどかしさがありました。

リフレクトはどのようにご利用されましたか。

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矢島 様

新入社員には、毎日研修後に「リフレクト」で日報を記入してもらいました。楽しく、前向きに振り返りに取り組んでもらいたいという思いから、フィードバックを行うAIには、当社人事部門のグループマネージャーをモデルにした「AIかねこさん」を設定しました。

このAIには、当社が掲げる5つの行動規範を評価軸として読み込ませ、それに基づいてフィードバックを行うように設計しています。行動規範に沿ったコメントを受け取ることで、新入社員が「どのような行動が評価されるのか」を理解し、会社が求める人材像への理解を深めることを狙いとしています。

また、「AIかねこさん」には、モデルとなったマネージャーの普段のコミュニケーションスタイル――たとえば、相手の良い点を丁寧に認めながらも、改善点にはしっかり向き合うといったバランスの取れた視点――や、日頃の対話から感じ取れる語り口や雰囲気を反映させることで、フィードバックに親しみやすさとリアリティを持たせるよう工夫しました。

「AIかねこさん」のイメージ図

新入社員の方が
※「三菱地所レジデンス5つの行動規範」三菱地所レジデンス株式会社コーポレートサイト より抜粋

リフレクト導入後の変化を教えてください。

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矢島 様

以前は、新入社員一人ひとりの日報をExcelファイルで個別に管理していたため、クラウド上のファイルを一つずつ開いて確認する必要がありました。そのため、全員分のフィードバックを作成するのに、1回あたりかなりの時間(5時間程度)と労力を要していました。
「リフレクト」導入後は、すべての日報をタイムライン上で一覧できるようになり、毎日の確認作業が格段に効率化されました。おかげで、一人ひとりに対してコメントを書く時間も大幅に短縮され、より多くの気づきや成長の芽を拾い上げる余裕が生まれたと感じています。

導入前 → 導入後の比較では

工数:矢島様の作業時間が 約70%ダウン
回数:AIかねこさんにより、フィードバック総数は210回→1,015回へ 約4.8倍アップ
研修担当者の負荷を大幅に軽減しつつ、新入社員の学習機会を大きく拡充を実現
新入社員の方が

「AIかねこさん」はいかがでしたか。

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柏木 様

「AIかねこさん」が、実際の社員の方にとてもよく似ていて、楽しみながら日報の振り返りに取り組むことができました。フィードバックの中で、「あなたの〇〇という行動が、当社の行動規範に一致しています」とコメントをもらったときは、研修期間中でありながらも、自分の行動が会社に認められているように感じて、とても嬉しかったのを覚えています。

柏木さんの振り返りと「AIかねこさん」のフィードバックの様子

新入社員の方が 新入社員の方が

新入社員の日報を通じて、気づきはありましたか。

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矢島 様

リフレクトを通じて、新入社員一人ひとりへの理解がこれまで以上に深まったと感じています。たとえば、同じ日の研修を受けていても、日報に記される着眼点がそれぞれ異なり、個々の価値観や関心の違いがよく表れていました。

「この方は、個人で黙々と作業するよりも、チームで協働することにやりがいを感じているようだから、そうした業務スタイルの部署が合っているかもしれない」

「この方は研修でしっかり成果を出しているのに、自信が持てていない様子が見受けられる。細やかなコミュニケーションを重視する育成リーダーとのペアリングが効果的かもしれない」

このように、日報を通じて見えてくる個々の特性や成長の兆しが、配属先を検討する際の貴重なヒントになっています。単なる振り返りツールにとどまらず、育成と配属の両面で活用できる点に、大きな価値を感じています。

ご自身の意識や行動は変わりましたか。

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柏木 様

AIかねこさんから「業務内容だけでなく、感じたことや次にどうしたいかを具体的に書くように」と繰り返し求められたことで、自然と「具体性」を意識して記述する習慣が身についたと思います。現在もその習慣を継続できており、配属先の先輩からも「振り返りが丁寧でわかりやすい」と評価をいただきました。
また、社会人基礎力の振り返り指標を通じて、自分自身の強み・弱みを改めて認識することができました。学生時代から「傾聴力」は自分の強みだと感じており、就職活動でもアピールしてきましたが、研修を通じてその力が改めて「強み」として示されたことで、自信につながりました。一方で、「働きかけ力」は内向的な自分にとって課題であることが明確になり、グループワークにもより積極的に参加しようと意識的に行動を変えるきっかけになりました。

新入社員へのアンケートでは 全5項目のうち3項目で肯定率が9割を超え、行動変容は100%が肯定、AIによるフィードバックの妥当性・有用性も8割超が肯定的と回答。

新入社員の方が

新入社員の同期の中でも変化はありましたか。

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柏木 様

同期の日報を読むことで、人柄や価値観の違いに気づくことができました。文章のスタイルや視点の違いから、それぞれの考え方や感じ方が伝わってきて、同じ体験でも受け止め方が異なることを実感しました。ある研修では、自分ではうまくできなかったと思っていた発表が、同期の振り返りでは高く評価されていて、自己肯定感が高まるきっかけになりました。

実は他の利用企業様と比較して、貴社が投稿文字数や、社会人基礎力の平均が飛び抜けて高かったのですが、その要因はなんだと思いますか?

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柏木 様

日報を書くモチベーションになったのは、矢島さんやAIかねこさんからのフィードバックが毎回もらえることでした。内容に対して具体的なコメントが返ってくることで、書くことが楽しくなり、自然と文量も増えていったと思います。また、リフレクトのデザインや雰囲気が親しみやすく、これまで「日報=業務」というイメージだった私にとって、振り返りが前向きな時間に変わりました。配属前ということもあり、自分の強みや興味を人事の方に伝える場としても活用していたと思います。

回答者の画像

矢島 様

現在も配属後に週報・月報という形で振り返りを続けていますが、リフレクトで培った振り返りの習慣が活かされていると感じています。業務を通じて感じたことや行動の振り返り、先輩社員の姿勢から学ぼうとする意識など、新入社員の成長につながる姿勢が定着しています。研修期間中に振り返りの力を育むことができたことは、配属後の大きな強みになっていると実感しています。

改めて、全体としてはどのような変化がありましたか。

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矢島 様

リフレクトは、単なる振り返りツールにとどまらず、新入社員と人事担当者の間に新たなコミュニケーションの接点を生み出すツールとして機能していたと感じています。人事部の私や金子、その他の担当者がリフレクト上で日報を閲覧し、リアクションを返すことで、研修時には「リフレクトで読んでいたからこそ」の声掛けが自然に生まれました。

新入社員側も、「AIかねこさん」とのやり取りをきっかけに、金子に直接「いつも温かいフィードバックをありがとうございます」と感謝を伝える場面があり、コミュニケーションが取りづらい初期段階でも、双方の対話を促す“フック”としての役割を果たしていたと思います。

さらに、人とAIが互いの強みを補完し合うことで、行動規範などの指導内容をぶれなく統一できたことは、大きな成果のひとつです。AIによる定量的・定型的な支援と、人による文脈を踏まえた対応が組み合わさることで新入社員の行動変容を促し、短期間で成長を実感できる研修運営が実現できたと感じております。

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